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鎖を外しながら”死神”は『君が俺の言うことを聞けるなら君をここから出してあげる。……世界は広いよ??』と笑顔で言った。
少年は”死神”の言葉にただただ頷くことしか出来なかった。
少年が頷けば”死神”は優しく微笑み自分の着ていた上着を少年に着せ抱きかかえ部屋を出た。
部屋を出てしばらく歩いていると森のような場所に出る。
少年は自分の見た事のない場所 自然 聞いたことのない鳴き声 吸ったことのない空気にあの監禁生活から抜け出せた喜び…自分の世界が広がった喜び…そしてあの男が自分を見つけたらどうしようと怯える恐怖心。
少年の心は今、いろいろな感情がまざりあっていた。
……死神は黒い車の前に来るとピタッと歩みを止めゆっくりと少年をおろした。
死神は
『この車に乗って??…2時間もすれば君の家族に会えるから』
少年を静かに頷き車に乗り込み、ふと思っていたことを聞く。
『死神さんは…来ないの…?』
すると死神は
『ふふっ…俺は行かないよ…でもまた会えるから』
と笑顔でいう。
”また会える”その言葉を聞き安心した少年もにこりと笑う。
『じゃあ、またね』
死神がそういうと車が発進される。
少年は”ありがとう…またね”と死神に手を振った。
………車もなくなり1人ポツンと残った死神は
『綺麗で可愛い蝶は籠から出されて自由になってこそ本当の美しさを手に入れる…………また捕まらないようにね…優くんクスッ』
と意味深な笑みをして森の奥へ消えていくのだった……。
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