アーモンドのチョコレート

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* 「たつ!お前また一人で飯食うてんのか?」 日替わり定食を盆にのせた村上は、一人カレーを口一杯頬張る大倉の隣に豪快に座った。 「友達おらへんもん」 「何を威張っとんねん」 一人ぼっちでご飯を食べる大倉がかわいそうに見えた村上が食堂で声をかけたのがきっかけで、この半年ほど村上の昼食はほぼ大倉と一緒だ。 「信ちゃんと一緒に食うからええもん」 「ええもんちゃうわ。俺が卒業したらどないすんねん。お前、かわいそうで、めんどくさぁて、しゃあないわ。」 (ああ、そうか。この人来年卒業しはるんや) 大倉は二つ上の先輩を横目で見ながら少し切なくなった。 「部活とか入ったらどうなん?自然と友達できるやろ。全寮制の高校で帰宅部て。終わってるで」 村上は小さく“いただきます”と目の前の食事に手を合わせてから、綺麗な箸使いで鯖の切り身をほぐしていく。 「今から人間関係築くんメンドイ」 「1年が何言うとんねん!」 「入学した時にタイミング逃したから、もうアカン」 「アカンことないて。サッカーやるか?」 「疲れるからイヤ」 「ワガママやなぁ!」 「信ちゃん」 「んぅ?」 「その鯖、旨そうやね」 「カレー、もう食うたんか!」 「だいぶまえに」 「ちゅうかお前またカレーか」 「今日はグリーンカレー」 「しゃれたもん食いよるなぁ。皿出せ」 「わーい♪」 少しため息をついた村上は、空になったカレー皿に鯖の切り身と茄子の煮浸しを一口分丁寧に取り分けた。 「お前がアホ面こいて、ウマア言うてんの、見てんの好きやし、卒業するまでは付き合うたろ思てるけどな。……ちゃんと、友達作らなアカンで」 「おん…」 大倉は、村上からのおすそ分けを口に含んで頷いた。
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