アーモンドのチョコレート

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* 「あ、よっかあま先生。村上君、今日おらんで」 「なんでヒナに用があることになってんねん」 放課後、ふらっと生徒会室に立ち寄った横山は、錦戸に村上の話題を振られ、分かりやすく不快感を表した。 「ちゃうん?」 「どっくんに用があるんやで?」 「あ、そーなんや」 錦戸は、照れ臭そうにはにかみ、長いまつ毛を何回も瞬きさせた。 「そうやで。食うか?」 「何?」 横山は手にしていたアーモンドのチョコレートを差し出し、錦戸に薦めた。 「アーモンどう?……うふふふふ」 「よかーま先生、自分で言うて笑ってたら、世話ないで。もうそれ完全に親父ギャグやん」 「俺もう32やで?もう十分オッサンやろ」 「オッサンにしては、残念なくらいアホやな」 「そうそうそう。だからこうやってアーモンドでビタミンBをって、何でやねん!」 「ノリツッコミはじょーずやな」 「よっしゃ!誉められた~ぁ!」 ことのほか嬉しそうにガッツポーズをした後、チョコレートを口に運んだ横山をじっと見つめる錦戸。 「____口にチョコついたで」 「可愛ええやろ」 「…」 「モテるやつやん」 「……」 「どっくん、なんか言うてくれよ」 「ごめん、何が正解かわからんかった」 不甲斐なさを浮かべる錦戸に横山は微笑み、チョコレートの箱を錦戸に渡した。 「持って帰ってヤスと食べ」 「おん。ありがとう。で、用って何?」 「あ、なんやったっけ?リアルに忘れたわ」 「アホや!この人ホンマにアホや!」
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