ボーンズ

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* 「マル!」 「亮ちゃん♪どしたん?」 部活終わりの丸山に、錦戸が子犬のような笑顔で駆け寄ってきた。 「マル、今日宿直やろ?遊びに行ってもええ?ラーメン食いに行きたい!」 全寮制の高校だが、ほとんどの教員は自宅から通勤をしている。だが、一ヶ月に一回ほど宿直の当番を課せられており、土日を学校で過ごすのだ。 「ああ~。今日はやることようけあるからアカンわぁ~。ごめんな。ラーメンはまた今度行こな。」 「ええ~!」 丸山の宿直当番を心待ちにしていた錦戸は、垂れた目を更に垂れさせて悲しげな表情を浮かべる。その顔を見て、丸山は良心の呵責に苦しむ。 (すばる君と逢引するなんて言えへん!) 「あっ!なぁ、すばる君がさ、マルんとこの風呂使こてるて聞いたんやけど」 「あっ!」 まさかの渋谷の話題に丸山の脂汗は止まらない。 「ホンマなんや…」 「亮ちゃん!それ、ホンマあかんことやねん!ばれたら俺、この学校おれへんくなるかもしれへんっ」 「ちょ!そんなアブナイことなんでしてるん!」 「だってすばる君が…」 「そんなん、すばる君にも言わなアカンやん!マルがおらんようになって一番悲しむん、すばる君かもしれへんで?」 「亮ちゃん…。でも、大人はできることとでけへんことがあってね…」 「なんやねん、ソレ!もうお前人間やめろ!」 暴言を吐いてその場を走り去る錦戸を、丸山はただ呆然と見ているしかなかった。 (亮ちゃん。せやねん。俺、人間やめなアカンこと、すばる君にしちゃってます。ホンマ、悪い大人なんです。)
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