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「マル~」
「はい~」
「マル~ゥ」
狭い宿直室には、当番の丸山と、その少し脂ののった腹に絡み付く渋谷がいた。
「すばる君、邪魔せんといて」
「邪魔してへん。気にすんな」
「世界で一番気になるで」
丸山の胡座の上に頭を乗せ、脇腹や顎をひっかいては業務妨害を試みる渋谷に、丸山は困ったような笑顔を浮かべて、渋谷の頬をつついた。
「マル」
「…」
「…マル」
「…」
「マル~」
柔らかいお腹に髪と顔をぐりぐりと押しつけ、すんすんとにおいを嗅ぐ渋谷に、丸山の理性は崩壊した。
「ああっ!もう無理っ!!」
「マル?」
「すばる君が悪いんやで?」
「ま、」
形勢逆転。
丸山は渋谷を押し倒して唇を奪い、薄い頬とすべらかな黒髪を両手で撫でた。
「すばる君、髪、のびはったね」
「俺、エロいからな」
「あは。自分で言うんや」
二人はニコニコ笑いあった後、どちらからともなく深く口づけた。
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