96人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
「え、ちょっと待って。ちゅーことは…」
「今のんが初めてや」
「なんか、ゴメン。ちゃんとしたかったか」
「ちゃんとて何?」
「ろまんちく…」
「…」
「噛んだて、つっこんでくれよ」
「イヤ。ええで。今のんはセーフ」
「おお」
「俺、先生としたかっただけやから、場所とか関係ない。ぜんぜん、ええよ」
「オイ」
「ハイ」
「初めて言うけど…」
「うん」
「お前が好きや」
「はぁっ?」
「入学した時から。まっすぐで、可愛いなて、思ってた。2年に上がる時、おたくが文系選んでくれて、ホッとしたわ。これで3年間ヒナの担任になれるわて」
「なんで?担任て勝手に決められるん?」
「基本は文系と理系に分けた後で成績順に並べんねやんか。それから仲悪い奴とか、一緒にすると不味そうなん分けて。あとは、おたくが分けられたクラスを俺がぱって地固めして、担任になってんねん。ヒャヒャヒャ!」
「コッスイ!」
「ええやんけ」
「キッショ!」
「何とでも言え。おたくが卒業するまで待つつもりやったんに、面談の時あんなこと言うから、気持ち、むちゃくちゃにされたわ!」
「じゃあ、なんで面談の時OKしてくれなかったん?」
「色々問題あるやろ!言いたないけど、マルとすばるみたいになってしまう可能性高いねんで?おたく、俺と付き合うなんてなったら、絶対隠せへん。すっげぇ顔に出る」
「う。」
「そうやろ?だから卒業するまで待と思てたんや」
「じゃあ、なんで今?」
「…」
「なんで?」
「引くなよ」
「引かへん」
「可愛かったから」
「へ」
「可愛かったからや!」
「…ありがとぉ」
「お礼言うんやめて!余計恥ずかしなる!」
村上は横山の言葉にふにゃふにゃと笑い、愛おしそうに、耳まで真っ赤になった横顔を見つめるのだった。
最初のコメントを投稿しよう!