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学生寮まで村上を送るだけのつもりだった横山だが、村上にごねられ部屋に入った。同居人のいなくなった2人部屋を手持無沙汰でふらふらと回る横山に対し、村上はリラックスした様子でベッドに転がっている。
「ヒナちゃん、今いくつ?」
「じゅうはちになった」
「ああ~犯罪やなぁ。俺、世間的に見たらオッサンやん」
「俺がええ言うとるんやから、ええやんか」
「そうか」
「そうです」
「んふふふ」
「気持ち悪いなぁ~、なんやねん」
「ええやんけ。両思いを満喫してんねん」
「なぁ、俺からキッスしてもええ?」
「キスな」
「おん。ええ?」
「ん」
横山がゆっくりと隣に歩み寄ったのを確認し、村上は豪快に立ち上がった。
少しつま先立ちして見た横山の顔は、思った以上に端正だった。
急に緊張した村上の唇は横山の高い鼻を掠める。
「ヒナちゃん、今外したな」
「ふは。難しなぁ……おわっ!」
ガードの緩くなっていた村上を、ベッドに押し倒した横山。
「これからいっぱいできんねんから、急ぐことないで。___ん?どした?」
村上が顔を真っ赤にしているのを見て、横山はいたずらっぽく笑い、赤らんだ鼻にキスを返した。
「おやすみ、ヒナちゃん。続きは卒業してからやな」
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