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「飯食って、宿直室行って、教員用の風呂入ってセックスしました」 なんの躊躇もなく教師との情事を語る渋谷。 紅顔の美少年が見据える先では、校長、並びにPTA役員が顔を引きつらせている。横山は会議室の隅で担任であることの責務を忘れて笑いを堪えるのに必死だった。 「2回目はライブに行って飲みに行って、駅前のホテルが満室やったからタクシーで移動して、しゃーなしに同伴喫茶に入りました。部屋が狭くて壁も薄くて、隣の客の声が聞こえて妙に緊張して。入れた思たらすぐ出てもうて。丸山先生は早漏で、なんか二人で気まずくなって帰りました。」 (その情報いらんやろ。てか、酒飲ますなアホマル。) 「3回目はぁ~、え?もうええですか?そうですか。こっからおもろくなるんですけどぉ、残念ですね。___全部、僕から誘いました。抱いてくれんと死ぬ言うて、手首切って見せました。丸山先生は優しいから、僕が言うたら抱いてくれましたけど、しぶしぶやったと思います」 そう言い切った渋谷は、ボタンも留めず羽織っただけのブレザーを泳がせて一礼した。 その袖口から覗いていたのは、細い手首に巻かれた血の滲んだ包帯だった。
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