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「毎度おおきに、ごっそさん!」
ラーメン屋でふたり分の会計を支払った丸山は、暖簾をくぐって外に出ながら携帯電話を確認して微笑んだ。
「誰から?」
「ヤス」
「なんて?」
「好きな人できたんやて。春やなぁ」
「ふぅん」
錦戸は憮然とした表情で握りこぶしを丸山に向けた。
「ええよ、おごるって」
「ちゃうって。マルが持っとったほうがええと思う」
錦戸は握っていたボタンを丸山の掌に落とした。
「亮ちゃん…」
「何やねん」
「俺、世界で一番すばる君が大事やけど、顔は亮ちゃんがタイプやで」
「おま!…ホンマに人間やめろっ!!」
錦戸は照れているのか怒っているのか、顔を真っ赤にして丸山を罵倒した。
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