第1話

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今日は、何年何月何日で何曜日だっただろうか? 本来なら、もう家に着いていて、ご飯も食べていて。そして、静かなお母さんとの会話のないテレビだけが音を出す時間を無駄に過ごしているはずなのに。 どうして、私はここにいるのだろう? というより、ここはどこ?まったく知らない道だというのに、私の足は何故か、ゆっくりと確実に何処かへと向かっていく。 私は何もわからず、考えれず、歩が先を進む。 私はいったい、どこへ向かっているのだろうか?何をしようとしているのだろうか? 世界には人間が知らない、知ってはいけないことがたくさんある。それらに名前はない。だから、人間が想像した物語の中で一番それに近いものを、俺はそれを名前としている。 無論、自分自身にもちゃんとした名前はある。いや、あった。自分の名前を忘れただけなんだが。 話は変わるが、俺は人間であって、人間ではない。どちらかというと、化け物の類いだ。人間っていう説もあるのかもしれないが、俺は化物だと断言する。 俺だって、元は人間だった。なりたくてなったわけじゃない。だが、なってしまったのだから、しょうがない。そう、クソ長い時間の中を無駄に過ごして、俺はようやく悟ったんだ。 人生を呪わない。時を呪わない。運命を呪わない。親を呪わない。こんな風にしたバカを呪わない。ただ、自分のみぞ呪う。 それが俺の、吸血鬼と呼ばれる化物になり堕ちてなお、世界に縋り付いているバカの戯言だ。 そんな奴の前に、今にも死んでしまいそうな奴が落ちていた。 なんでこんな時に限って、夜空はこんなにも綺麗何だろうか? 「うわぁ、めんどくせぇ」
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