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「よ、よかった、いた……!」
エントランスにある椅子に座っているいつもの上半身半裸の彼を見つけて安堵する。しかしその表情は何かを考えているようで浮かない。やがて、声をかける前にこちらに気づいたのか笑顔を作って近づいてくる。
「あ、団長。取材お疲れ様です」
「いやいや。久しぶりだねクロード。ほんと急に会いに来るんだから。アポとってよ常識でしょ」
そうおどけて言うと、彼は「すみませんね、緊急の用で」と私の前に立った。その表情の中に何故か辛そうなものが見え、それについて問いかけようとしたが私の声は「本当変わりませんね、容姿」という言葉にかき消される。
「多分トリストと契約してるからだろうね。ってクロードこそ全然変わらないじゃん」
「俺はまあ異世界人ですからねえ」
そう言って彼は笑みを浮かべ私の方を見据える。
「じゃ、ちょっと応接室の方行って話しようか。なんか用があってきたんでしょう?」と私が言うと、クロードは「いえ。すぐ済むのでここでも」と笑った。
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