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今となっては
全体が薄く霧がかかり、
シルエットがぼんやり見えるくらい。
声はとても遠く、
どんなに頑張って聴こうとしても
ノイズによってかき消される。
残るのは虚しさだけ。
あの日のお兄ちゃんの存在も
あんなに鮮明に覚えていたのに
今は、なんだか色が薄れ、
細かいところなんてまったくわからない。
お兄ちゃんの存在は嫌なほど忘れられない。
でも記憶はだんだん薄れていく。
正直言って、もう、辛かった。
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