5人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
それは糸に貝殻とビーズを通したもの。
長い糸を4回手首に巻いて
リボン結びにしていた。
手先が器用なお兄ちゃんは
自分で作ったそれを
いつも二つ手首に巻いていた。
それを解いて
大きな輪をつくり結ぶ。
そして幼い私の首にかける。
「おそろいだ!
これがあればいつも一緒だ!!」
にかっと笑ってみせるお兄ちゃん、
どんなに泣いても、
いつもこの笑顔で私は泣き止んだ。
「うん!お兄ちゃん!」
砂浜で二人は小さい身を抱き合った。
このときお兄ちゃんは
無言で涙を流していた。
これはたしか、
少し肌寒い夏の終わりだった。
最初のコメントを投稿しよう!