「幼い夢」

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それは糸に貝殻とビーズを通したもの。 長い糸を4回手首に巻いて リボン結びにしていた。 手先が器用なお兄ちゃんは 自分で作ったそれを いつも二つ手首に巻いていた。 それを解いて 大きな輪をつくり結ぶ。 そして幼い私の首にかける。 「おそろいだ!  これがあればいつも一緒だ!!」 にかっと笑ってみせるお兄ちゃん、 どんなに泣いても、 いつもこの笑顔で私は泣き止んだ。 「うん!お兄ちゃん!」 砂浜で二人は小さい身を抱き合った。 このときお兄ちゃんは 無言で涙を流していた。 これはたしか、 少し肌寒い夏の終わりだった。
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