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都会の水道の水を飲むと、
ときどきプールを思い出す。
まぶしい太陽、
じっとり汗ばむ肌、
焼けつく地面・・・。
例えば住民票を待つ区役所で、
例えば待ち合わせの時間に早く着いて、
暇つぶしに入ったデパートで水を飲んだとき、
ビーチサンダルに海水パンツの子供達の歓声に混じって、
ジリジリと肌を焼きながら、
プールサイドに立つ自分がそこにいる。
たとえそれが真冬であっても、
うっすら脇の下に汗までかいている。
おそらくは殺菌のため使われている塩素の匂いが、
普段片すみにしまい込まれた思い出を
生々しく蘇らせるのだろう。
もしかしたら嗅覚とは、
他の五感とは比べものにならないほど、
記憶と密接に関わりのある機能なのかもしれない。
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