"Festeggiare vincente del destino"

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満開だ……相も変わらず、満開だ。 貴女が"作り出した"この桜は、何があっても永久に散る事はないでしょう。 そういう風に、貴女が"創造"したのですから。 あの地からこの桜の木を移植した時から、この場所は誰も迎えていない。 貴女と2人で見ていたこの桜……ずっと見ていようと約束したこの桜を、誰かと見るという事はないでしょう。 ……ここ以外の桜は散り始めました。 ここだけです……1年中桜が満開なのは。 俺だけの場所で、俺と貴女の大切な桜。 貴女が大好きだった日本の桜は……貴女がいなくても咲いています。 桜の方が好きだという貴女の駄々を聞き流し、貴女の名前と外見から付けた貴女と俺だけの愛称……。 "モミジ"様……滅多に揺れない貴女の桜が風に揺れております。 何かが変わる……俺には、そんな気がしてなりません。 月明かりしかない丘で、たった1本咲き誇る奇跡の桜。 その根本から見る空は、一面の桜色。 月明かりは、金色の帯となって丘を照らす。 青年は……幻想的な世界の中で、静かに桜の幹に身体を預ける。 何かが変わる予感を胸に。
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