殺伐死険 "特別教習"

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  だが今はその正体を突き止める必要性は無い。今しなくてはならない事は、職務を全うする事である。 「どっちみちやる事は変わらん。関節さえ剥き出しならやりようは幾らでもある」 「そうでやがります。1人1体1殺。楸原 秋平、彼等を早く魔法陣に」 「立ち往生は理由も無くしませんよ。出来たらあなた方が到着した時点で殴り飛ばしてでも魔法陣に入れてます。自分達も戦うと言ってもね」 「ハプニングか?」 「いいえ、トラブルです」 「何かが介入しやがりましたか」 2人が秋平が顎で示した魔法陣を見れば、何者かの手が加えられたのは明らかだった。   脅威は前からも後ろからも訪れ、逃げる方法は皆無。生徒達が大袈裟と言えるくらいに安堵していた訳だ。 「逃れる術もありましたが、リスクが高過ぎてどうするか迷ってたところにあなた方が」 「貴方でも迷う事がありやがりましたか」 「俺をなんだと思ってるんですか?」 「血も涙もある悪魔」 「血も涙も無いし悪魔でもありませんよ」 「んな事ぁどうでもいい。とにかくお前らは俺達があいつらを始末するまでここで──ッ!!」 風上が言葉を切り辺りを見渡す。仮面も相俟ってまるで獲物を探しているようにも見えるが、今の状況ではそれは当てはまらない。 〝地面が揺れている〟 大人しくしていろと、続きが出てこなかったのはその現象に気付いたからだ。 それはその場に居る者達に等しく訪れた不吉の予兆。 一度その現象に遭遇していた6人はウンザリしたように溜め息を吐いて呟いた。 「どうやら、事態はもっと深刻でやがります」 〝勘弁してくれよ〟と。 語尾口調、それぞれ違うとはいえ似たような呟きと同時に、3体目のスタルスクレイパーは地中から餌を求めにやって来た。 散弾のように飛び散る土と礫が8人を強襲する。 だが誰も焦る事は無かった。 相手が1国を落とす魔物だろうが、こちらには既に1国を消し去るような怪物が居る。 「ド腐れ野郎が」 "風上"が地面をドンと一度踏みつける。 すると8人を中心とし護るように巨大な竜巻が出現し、3体目もろとも礫を弾き飛ばした。
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