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そんなことはお見通しだとでも言うかのように、佐川は笑う。
「仕事ってのは欲しい時にいつでもあるもんじゃないだろう。チャンスは掴むべきだと思わないか?」
制作会社の人間らしい言葉だと思った。
仕事のコントロールをするのはこちら側。そしてクライアント側だ。
手足である彼らに選択肢など、ありはしない。
けれど、それより何より私は不覚にも、『チャンス』という言葉に反応してしまったのだ。
この男の仕事を受けたいなんて、微塵も思わない。
けれど、もし……現状を打破するきっかけになるのなら。
その『チャンス』になるというのなら、話は別だ。
私は努めて冷静さを装い、佐川にたずねた。
「あなたの仕事が……どうチャンスになるっていうの?」
ソレが、私に何をもたらしてくれるのか。
きちんと説明してもらおうじゃない。
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