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[繰り返し]
仲の良かった友が死んだ。
戦死だ。
別に珍しくない。
今回が初めてなわけでもない。
涙も出ない。
ただ、いい奴だった。
「結局お前も一緒だね、
俺より先に逝ってしまうんだから…」
ばっさりと切られた喉に口を近付け、まだぬくもりが残るそれに食らい付いた。
甘いその味。
幾度なくこの身体に取り込んだ味。
「美味しい…これでお前の命は俺が預かった」
一緒に来てくれるだろう?
口元を赤く染めた俺は戦場に戻る。
涙を流したくても流せない。
その代わりに血を流すよ。
綺麗な綺麗な雨を、涙を流す。
end.
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