21/41
前へ
/312ページ
次へ
[天体観測③] 第一印象はよく笑う子。 何が愉しいのかわからないが、常に笑ってる…。別に不気味だとか、気持ち悪いだとか、そんな感情は出てこなかった。 ただ、同じ臭いがするな…なんて変な事を思ったのを今でも覚えている。 「今日こそお菓子を頂きますっ」 「うん」 アルシャインに寄った際に必ず此所に来るようになった。 相変わらず綺麗な星空の下、今日も武器を取る。 地を蹴って、砂埃を巻き上げ、ぶつけ合う。 この星空に合わない金属音も慣れてしまった。 「わぉ…速くなったネ」 「ふて寝しておやつを食べませんでしたからっ」 「www」 腕を弾かれて足をはらわれ、転ばされる。 ぴとりと首に突き付けられた其れに、にこりと笑う。 「おめでとう。キミの勝ちだヨ」 「……」 が、其れは皮膚をぷつ、と破り、首から赤が流れた。 「納得いきません。赤の国の従者さん…手をぬきましたね…?」 「何のことだい? キミは勝った。そうだろう?」 「むー…」 デジャヴだな、なんて一人で思う。 以前も手合わせして誰かさんに手をぬいてるって言われたっけ…。 「このまま俺ちゃんを殺すかい?」 「…やめときます、青と赤は仲がよろしくないですから」 退かれた其れ。 立ち上がり、服の埃を払う。 「ってことで、はい」 「?」 「ガトーショコラ。食べたかったんでしょ?」 どこから出したのって野暮なことはきかないでね? 水色のリボンで飾られた正方形の箱を目の前の彼女に渡した。 「漠然としないんですが、」 「いいじゃない。その方が」 ぶつぶつ文句を言いながら早速箱を開けてガトーショコラを食べる彼女。 「ふふふ、綺麗な天の川だネー」 「ふぉうでふね(そうですね)」 end. ────────────────── どうしても幸さんにガトーショコラを食べてほしかった…!! 満月は相変わらず食えない人間ですね… 申し訳ない(^q^)  
/312ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加