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[天体観測③]
第一印象はよく笑う子。
何が愉しいのかわからないが、常に笑ってる…。別に不気味だとか、気持ち悪いだとか、そんな感情は出てこなかった。
ただ、同じ臭いがするな…なんて変な事を思ったのを今でも覚えている。
「今日こそお菓子を頂きますっ」
「うん」
アルシャインに寄った際に必ず此所に来るようになった。
相変わらず綺麗な星空の下、今日も武器を取る。
地を蹴って、砂埃を巻き上げ、ぶつけ合う。
この星空に合わない金属音も慣れてしまった。
「わぉ…速くなったネ」
「ふて寝しておやつを食べませんでしたからっ」
「www」
腕を弾かれて足をはらわれ、転ばされる。
ぴとりと首に突き付けられた其れに、にこりと笑う。
「おめでとう。キミの勝ちだヨ」
「……」
が、其れは皮膚をぷつ、と破り、首から赤が流れた。
「納得いきません。赤の国の従者さん…手をぬきましたね…?」
「何のことだい?
キミは勝った。そうだろう?」
「むー…」
デジャヴだな、なんて一人で思う。
以前も手合わせして誰かさんに手をぬいてるって言われたっけ…。
「このまま俺ちゃんを殺すかい?」
「…やめときます、青と赤は仲がよろしくないですから」
退かれた其れ。
立ち上がり、服の埃を払う。
「ってことで、はい」
「?」
「ガトーショコラ。食べたかったんでしょ?」
どこから出したのって野暮なことはきかないでね?
水色のリボンで飾られた正方形の箱を目の前の彼女に渡した。
「漠然としないんですが、」
「いいじゃない。その方が」
ぶつぶつ文句を言いながら早速箱を開けてガトーショコラを食べる彼女。
「ふふふ、綺麗な天の川だネー」
「ふぉうでふね(そうですね)」
end.
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どうしても幸さんにガトーショコラを食べてほしかった…!!
満月は相変わらず食えない人間ですね…
申し訳ない(^q^)
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