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[モブ兵の日記②]
○月△日
今日は日差しが憎く感じるほどに天気が良かった。
休憩時に涼もうと木陰に向かったら満月従者が寝息をたてていた。
それなりの階級を持っている人は激務に追われてなかなか睡眠を取れないと耳にしたことがある。
ならばやっとできた休息なのだろう。
自分も涼みたいが起こしてしまったら悪いし、何より…満月従者は猛獣達に囲まれていた。
数メートル離れているのに、猛獣達の鋭い瞳はしっかりと俺を捕らえている。
近付いたら食い殺されてしまう。
滴る汗を手で拭ってその場を離れることにした。
木陰が駄目ならどこで涼もう…。
そんなことを考えながら歩いていると前から真珠従者が歩いてきた。
「お疲れさま」
笑顔で言われ、慌てて返す。
「暑そうだね、水で顔でも洗うといいよ」
そして真珠従者は去っていった。
水で顔を…。
そうか、それなら涼めるし、汗も流せる。
急いで水汲み場へ向かった。
真珠従者のおかげで涼むことができた。
今さらなんだが、もしかしたら真珠従者は満月従者を探していたのかもしれない…。
悪いことをしてしまった。
今日はここまで。
end.
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