【第4話】恵美子の匂い

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「目や耳なんかより、 はるかに優れた能力を持っているのに、 どうして誰もそれを活かそうとしないのかしら?」 寄り目になった宇崎の顔を見て、 危うく吹き出しそうになるのを堪えながら、 倫子は言った。 「轢き逃げした車は、 タイヤに奥さんの匂いをしっかりつけて、 逃げてるわ。 宇崎さん、 恵美子さんの匂いを追いかけましょう!」 「本当かい!? でも、もう暗くなってきたから・・・」 「宇崎さん。 匂いには昼も夜も関係ないのよ。 さあ、行きましょう!」 「うん!よろしくお願いします!」 明らかに年下とわかる女の子に、 深々と頭を下げる宇崎を 人が見たらなんと思うだろう。 しかし、 ふたりを包む夕闇は目の能力の限界で、 それに気づく者は誰もいない・・・。
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