第2話

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ガチャ 「ただいま」 寝室に入りスーツを脱いだ。 羽山の住んでいる所は私の住んでいる所から川を挟んで隣の区だった。 羽山は飲ませちゃいけないんだな。 でも、歓送迎会の時はそれなりに飲んでいた気がするんだけど……。 ベッド横のサイドテーブルに携帯とスマホを充電した時、仕事用の携帯にメールが来ているのに気が付いた。 「……」 羽山からの短いお礼メールだ。 窓をあけて部屋の空気を入れ変える。 春の終わりに吹く風は まだ少し冷たくて 少し柔らかい。 ベランダから眺める夜空に見える星はまばら。 東京の空は夜でも明る過ぎる。 父がまだ生きていた頃、夏になるとキャンプに連れて行ってくれた。 冬にはスキーに連れて行ってくれた。 そこで見た星空は東京とは別物で、粉砂糖をふるったみたいに細かい星まではっきり見えていた。
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