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ヴーヴー
サイドボード上で震えるスマホの音が部屋に響いた。
「…………もしもし」
からからになった声で電話にでると、相手は母親だった。
「ん、元気だよ。
お母さんいつも早いね」
家を出た娘を心配した母親の言う事はきっとどの家も同じだろう。
ちゃんと朝ごはん食べて出ないとだめよ、とか。
誰々ちゃんが今度結婚するんだって、とか。
「んー、近々帰るよ?
え?嘘。淳就職決まったの?
凄いじゃん」
左腕で目を隠して朝の光を遮った。
「うん。じゃあご飯食べに行こう。
また帰る時連絡するね、はい、行って来ます」
母からの電話を切って、布団に入ったままぐっと手を天井に向け伸びをした。
時刻は6時半。
母からの電話はいつも早い。
まどろみに浸りたい気持ちを振り払って起き上がりカーテンを開いた。
明るい光が部屋に差し込む。
窓をあけて深呼吸をする。
これが私の日課、朝の始まり。
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