第2話

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ヴーヴー サイドボード上で震えるスマホの音が部屋に響いた。 「…………もしもし」 からからになった声で電話にでると、相手は母親だった。 「ん、元気だよ。 お母さんいつも早いね」 家を出た娘を心配した母親の言う事はきっとどの家も同じだろう。 ちゃんと朝ごはん食べて出ないとだめよ、とか。 誰々ちゃんが今度結婚するんだって、とか。 「んー、近々帰るよ? え?嘘。淳就職決まったの? 凄いじゃん」 左腕で目を隠して朝の光を遮った。 「うん。じゃあご飯食べに行こう。 また帰る時連絡するね、はい、行って来ます」 母からの電話を切って、布団に入ったままぐっと手を天井に向け伸びをした。 時刻は6時半。 母からの電話はいつも早い。 まどろみに浸りたい気持ちを振り払って起き上がりカーテンを開いた。 明るい光が部屋に差し込む。 窓をあけて深呼吸をする。 これが私の日課、朝の始まり。
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