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運ばれて来たサラダとパスタを食べながら、香澄のおしゃべりは止まらなかった。
食後のコーヒーが運ばれて来てようやく落ち着いた感じだ。
「そういえば、淳が就職決まったんだって」
「えー、あっくんてもうそんな歳なんだ」
「お祝いあげたいんだけど何が良いと思う?」
「ベタだけど、ネクタイとか名刺入れとか?
それこそ羽山君に聞いてみたら?」
「……そっか」
「ねぇ、あっくんてまだ可愛い?
知和と目元そっくりだよねー。
ちょっとたれ目で可愛いかったなぁ」
食後のコーヒーを両手でもって飲む姿は女の子らしくて可愛い。
「んー、どうかな。可愛いくはないと思うけど……」
「私は一人っ子だから羨ましいなぁ」
そう言いながら、ちらっと腕時計を確認した香澄が「そろそろいこっか」と言った。
スカートをひらひらさせながら私の隣を歩く香澄はざっくばらんな感じだけど女子力は高いと思う。
ビジューのついたパンプスは春の陽気に合っている。
「香澄、ありがとね」
「え?何が?」
柔らかい気持ちにしてくれた香澄にお礼を言うと、当然だけど目を丸くした。
私は小さく首を振って笑った。
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