第2話

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「先輩」 「…………」 「先輩」 デスクをとんっと叩かれはっとする。 「え?」 振り向き見上げると羽山が私を見下ろしていた。 「開札の時間です」 壁にかかっている時計を指してそう言った。 「うん」 席から立ち上がり羽山の後ろを歩いて専用PCへ向かう。 羽山の背中を見る事なんて滅多にない。 身体の線が細いな。 「…………」 香澄に言われたからか、フロアを歩く私に向けられる視線に気付いた。 その視線は女子社員からのもので、視線の先は羽山に向けられ、その流れで私にも。 「…………」 周りに興味をもて、と言われたけれど……煩わしいだけじゃないですか。 カチ、カチッ 「どうだったー?」 私達の後ろを通りすがる時、嶋野さんがキャスターの背もたれに手を掛けて覗き込んで来た。 「うちに決まりました」 振り向いてそう伝えると。 「おー、幸先いいじゃん」 と、緩い感じで労ってくれた。 「課長と部長に報告してくる」 嶋野さんは軽く上げた手をひらひら動かして去って行った。
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