第2話

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「良かったですね」 「うん。ほっとする。 設計と見積にもお礼言わないと。 高萩さんとこ行くけど羽山も一緒にいい?」 「あ、はい」 フロアを出て、設計部へ向かう途中「羽山、高萩部長知ってる?」と、話を振ると「お会いした事無いですけど会長のお孫さんですよね?」と、返答が来た。 「そう。知ってるんだ」 初見建設は同族経営だけど、実力が無ければ親族だろうとその地位に着く事は出来ない。 会長も社長も凄い人。 私がこの会社を好きな理由の一つ。 高萩部長はまだ年齢は若いけど、人の使い方が上手くて人を育てる力もある。 「高萩部長」 会議室から丁度出てきた高萩部長を呼び止めた。 「あ、木崎さん」 「今日開札の物件無事取れました」 ありがとうございましたと頭を下げると高萩部長は人懐こい笑顔で肩を竦めた。 「いやいや、木崎さんが頑張ったからでしょ」 優しく笑ってくれた。 若くして役職がつくと色々大変だろうけど、高萩部長はそんな事感じさせない余裕さと全部吸収してくれる懐の深さを感じられる。 だから、高萩部長の周りには人が集う。 「部長、第一営業部に入ってきた羽山です」 私が紹介すると、羽山は頭を下げた。 「よろしくお願いします」
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