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羽山と組んで仕事を始めて思ったのは
手が掛からない、と言うこと。
一度言った事はちゃんと理解するし資料を揃えたり気が回る。
小川とは大違いだ。
それに仕事以外では課の者に関わろうとしない。
自分の事も晒そうとしない。
まぁ、私にはその距離感が丁度いい。
「先輩、工事成績表って何ですか?提出を求められているんですけど」
「官庁の工事やると点数付けられるの」
「点数……」
「学校の成績と一緒」
そう伝えると、そうなんですねと小さく呟いてこちらに向けていた身体を元に戻した。
「羽山ーまだ帰らないの?」
午後9時を過ぎて小川がやって来た。
「…………」
「ちょ、羽山シカトすんなよ」
騒がしい小川の言葉がまるで聞こえていないかのように羽山はキーボードをタイピングしている。
「小川うるさい」
「えー。木崎さんまでそういう事言うんすか?
なんか羽山とタッグ組んで勢力拡大したんじゃないですか?」
勢力拡大って……。
そもそもタッグって何?
「飯いかね?」
「9時過ぎたら食べ無いから」
「女子かお前は。
じゃあ、木崎さん行きません?」
羽山に断られた小川が私の方に顔を向け、子犬の様な笑顔で返事を待っている。
「私も9時過ぎたら食べ無い」
そう言うと、凄く悲しそうな顔をされた。
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