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羽山の言葉に固まってしまった。
「駄目だよ……それ」
ある意味パワハラじゃない。
私はピルスナーグラスのビールに手を伸ばした。
「先輩二人兄弟ですか?」
「ううん、三人。もう一人下に弟がいるの」
「長女気質ですもんね」
「……そうかな」
「一人娘だから父親は心配ですね」
「……どうだろう」
「あまり話さないですか?」
「……私が10歳の時に事故で死んじゃったの」
「…………」
「なんか、ごめん」
「いえ……こちらこそ」
魚の煮付けは甘めで、凄く懐かしい味がした。
何でだろう。
私は人に自分の事を話したりしないのに。
同類と彼が言ったからだろうか。
それともお酒のせいだろうか。
それから言葉を交わさずお酒を飲んだ。
黙っていても、それが居心地の悪さにはならない。
沈黙が気まずくない相手なんて、家族以外に会ったことがないな、なんて頭の片隅で思っていた。
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