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結局私と羽山は小川に付き合って居酒屋に行った。
「先輩飲みますか?」
「じゃあ、一杯だけ」
「ビール?」
「うん」
「……なんか、仲いいですね」
小川が並んで座った私と羽山のやり取りを見て独り言の様に呟いた。
「何処をどう見てるの?」
羽山が呆れた物言いをしてメニューを小川に差し戻す。
注文を伝えるのは小川の仕事らしい。
「なんか、人を敬ってるっていうか気を使ってる羽山の姿を初めて見るから違和感でいっぱいなんだけど」
飲み物を頼んだ小川はメニューから視線を上げ、私と羽山の顔を交互に見た。
「それなりにちゃんと働いてますよね?」
羽山が私を窺った。
「あー、小川よりはね」
そう言うと小川は固まり泣きそうな表情を見せる。
「木崎さんまじ冷たいっす。
そりゃ羽山には及ばないかもですが俺なりに頑張ってたんですよ」
「うん、知ってる」
「…………」
「園田さんの所でも頑張ってるんでしょ?
褒めてたよ」
小川は表情が分かりやすい。
凄く嬉しそうな顔してる。
「見たか羽山。これが木崎さんのアメとムチだぞ」
「単に小川がからかいやすいだけなんだけどね。
それに羽山にはアメもムチも必要無いよ」
そうした話の区切れと同時に飲み物が運ばれた。
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