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小川が新しい部署の話をして、私と羽山は聞くだけ。
「なんか2人って良く似てますよね?雰囲気とか」
「……そう?」
「落ち着いている感じとか俺の扱いとか」
小川がそう言った時、テーブルの上の携帯が鳴った。
「あ、すいません」
席を立ち、足早に店の外へ出る。
「…………」
2人きりになった途端続く沈黙。
そうか、小川が話してないと会話って無いんだ。
小川の席のビールジョッキの無くなりつつある泡を見つめた。
「呼び出しですかね」
あ、羽山がしゃべった。
「そうなの?」
「たまに同期で飲み会行くんですけど、ああやって電話がかかって来て抜ける事あります」
「彼女?」
羽山に問い掛けると、ふっと鼻で笑い「まさか」と言った。
「上司ですよ。嶋野さんとか、今なら園田部長とか。
見るからに声かけられやすそうじゃないですか?」
「確かに」
ジョッキを持った羽山の手の甲にくっきりとした筋が出た。
手、綺麗だな。
「なんか、小川がいなくなるとこの座り位置微妙だね」
「そうですね」
「どう?第一営業部」
「まぁ、噂通り」
「大変?」
そう聞くと羽山は少しだけ口角を上げて見せた。
なんだ、そういう顔もするんだ。
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