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「すいません」
数分後戻って来た小川が申し訳無さそうな顔をする。
「呼び出し?」
羽山の問いに小川は力無く頷いた。
「じゃあ、一緒に出ましょうか」
と、羽山が私に言った時
「お待たせしました、水菜とじゃこのサラダと焼き鳥です」
目の前に料理が置かれた。
「…………」
何も発せず三人で固まった。
私は浮かせた腰を元に戻す。
「じゃあ、お疲れ小川」
「本当すみません」
謝りながら帰る小川の背中を見送ると、羽山が席を移動して私の向かいへ行った。
「先輩、食べられますか?」
「あ、うん」
仕事で2人になる事はあっても、こんな風に飲みに行った事なんて無い。
「焼き鳥も暖かいうちにどうぞ?」
「あ、はい」
サラダを取り分けている羽山に促され焼き鳥を一本お皿に取った。
「はい」
「ありがとう」
盛られたサラダが目の前に置かれた。
「先輩って」
七味を取ろうとして手を伸ばした時、羽山に呼ばれ動きを止めた。
「潔癖でしょ?」
「…………え?」
私は羽山の顔を見つめたまま七味の蓋をくるくる回した。
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