第2話

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「潔癖かな……」 「もしかして、自覚無いんですか?」 「…………」 反応の薄い私を見て羽山はテーブルに腕を乗せ、前屈みになった。 「他人と鍋をつつくのは嫌だ」 「…………」 「焼き鳥を串からほぐしてシェアするなんてあり得ない」 「…………」 「人の握ったおにぎりなんてもっての他」 「…………」 小川の残していったビールの泡は既に消え去っていた。 「どうですか? 全部答えはイエスじゃありませんか?」 全部分かった様な表情で、主導権を取ったみたいな余裕さで、私の目を逸らさずに見ている。 「イエスだったら潔癖なの?」 「……まぁ、そうでしょうね」 「…………」 「無自覚ですか?」 「…………」 私は黙ったままビールを飲み干した。それを見て羽山は焼き鳥を口にした。 「同じニオイがします」 暫く無言だった私を見て羽山が言った。 「羽山も?」 「宴会とか大皿料理は苦手だし、大体人が食べてる姿とかあんまり見たく無いんです」 「…………」 私はサラダを食べていた箸を止めた。 「あ、すいません。別に気にしないで下さい。同じタイプの人は気にならないんで」 食べ終えた焼き鳥の串をから入れに入れながらそう言った。
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