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父の花
『お父さん、こん花ばすいとったよね。』
――姉が発した言葉に、父がその花を好きだったと初めて知った。
そしてそれは父の棺を乗せた霊柩車の中だった。
私は父の遺影を抱え直し、火葬場へ向かう霊柩車の窓から景色をうかがう。
ほんのり暖かく、緩やかな風に揺られるアイスランドポピー。
オレンジや黄色、ピンクに白。
鮮やかな暖色に包まれたその景色を見て、どの花も我を主張するでもなく、皆が調和して彩る様に、なんだか優しい花だと思えた。
あまりに可愛すぎるその花を好きだった父を意外に思った。
いや、意外もなにも…
私は父に片手で数えられる程しか会ったことがないのだから、
意外と言うのは、私の中でのイメージでしかないのだ。
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