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「犬養」
さっきまで、私の前の席の男子と話してた東海(トウカイ)に名前を呼ばれた。
「テストどうだった?」
あなたが訊きますか。
東海 皐月(トウカイ サツキ)は、テストでずっと学年1位をとりつづけている男子で、オカルト部部長だ。
ちなみに、私もオカルト部部員。
「うーん…まあまあ、かな」
《あれでまあまあかよ…》
(呆れたなら黙ってて)
ちなみに、悪魔との会話は他人には聴こえない。
「僕もだ。
もし今から帰るなら、オカルト部部室に寄って関口 直実(セキグチナオミ)から貰った、マフラーを持っていくといい」
私が頷いたのを見ると、東海はまた男子と会話を再開した。
《関口って、ロッカーから英語辞書が消えた、って騒いでたやつか》
東海が『オカルトだ!』なんて言ってたけど、原因は、彼女が家に持って帰ったのを忘れてただけ。
オカルトでも何でもない。
《マフラー、オカルト野郎へのプレゼントだろ?》
(そうだよ。
自分宛てなのに気づかない、鈍感さに女子はキュンとくるらしいよ)
私はキュンとしないけど。
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