扉の向こうへ

11/22

76人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
「……逃げるつもりかい?」 「当たり前でしょう?外を少し見たいだけ、なんて言うと思う?」 馬鹿にしたような口調でマリオネットは言った。 「ここまでして外に出なかったら、殺されるか、また鎖に繋がれるか、でしょ?あんたが『ここまでするなんて思ってなかったよ。これからは君のこと大切にするからね』とか温かい言葉をかけるわけないのは知ってるわ。メリットが何もないしね」 マスターは迷っているのか、何も言わない。 マスターの表情を見て、小学生の頃、校庭で遊んでる時にボールで窓ガラスを割ってしまったクラスメートのを思い出した。 先生に謝るのも怒られるのも良いけど、お母さんにこの事知られるのが嫌だ。 俺のお母さん、すごい怖いんだ。 そう言ってたあの子と、同じ顔。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加