それぞれのさよなら―Ⅰ―

3/9

76人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
ようやく、自分のしたことを理解したのか、マスターは金魚みたいに口をパクパクさせた。 マリオネットを捕まえる余裕なんで無さそうだ。 その方が好都合。 力ではこいつに敵いやしないのだから。 「サ、サン……何で……何で?」 マリオネットは泣きそうな声で言った。 「あなたがしようとしていることがわかったからよ」 平静を装って喋る。 喋る度に、心臓がドクンドクンと悲鳴をあげている気がする。 「私はそんなの嫌。他の子達の分まであなたは生きて」 あなた『は』。 私『は』ここで死ぬ。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加