それぞれのさよなら―Ⅰ―

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「逃がさないよ、僕の可愛い操り人形」 私の血で赤く染まった包丁を持ち、マスターは言った。 「僕の意のまま操れる可愛い人形。こんなに逆らうっていうことは……糸が絡まっちゃったのかな?」 品の無い例え話。 吐き気がする。 いや、吐き気も何も既に血が口からも溢れてるわけだけど……上手いこと言ってる場合じゃないわ。 「絡まった糸をほどけないなら――切るしかないもんね?」 マスターがそう言ったと同時にマスターの脚にしがみ付く。 「早く!!早く行って!!」 最期の力を振り絞って、私はもがく。
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