第6話 【セカンド・バージン】

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触れられた瞬間、ビクッと身体が小さく揺れた。 冷え切った頬から、彼の体温が流れ込む。 「俺のこと、嫌い?」 先生はそう言って、まるで愛撫するかのように長い指で頬を撫でる。 先生… 身体の芯が熱い。――この目に、どうしようもなく惹きつけられる。 「今度こそ聞かせてよ。ホントのこと」 熱くなった耳に注がれる、甘い吐息。 やめて… そんな優しい目で見つめないでよ…… 身体が壊れてしまうかと思うほど、激しく叩き打つ胸の鼓動。 足先から頭頂へ上る、熱を帯びた痺れ。 「…キライ…傲慢な医者なんて…大っ嫌い…」 頼りない声を絞り出し、息ができなくなるほどの胸の鼓動を誤魔化すように、咄嗟に視線を外した。 すると、そんな私を見て彼はククッと喉を鳴らした。 「目は口程に物を言う…麻弥、もう逃げるなよ」 柔らかな声が耳に流れ入る。 『麻弥』――名前を呼ばれる度に、身体が熱くなる。 「…逃げてなんてない」 無意識に、声が揺れる。 「…嘘つき」 彼は私の身体を引き寄せ、しなやかな指先は私の顎を優しく支えた。 見つめ合う二人。 「…先生…」 彼に引き込まれていく心と身体。 誘われるまま瞼を閉じた瞬間、私の強がりな唇は、彼の熱い口づけで塞がれていた――。
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