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「…そんなに怯えなくていいのに」
先生の含み笑いの声が、私の横顔に掛る。
「別に、怯えてる訳じゃありません!ただ、ちょっと緊張してるだけです。久しぶりだから…」
っと、縺れそうになる舌で精一杯の反論をしながら顔を上げる。
視線を彼に向けた瞬間、ドキッとして息をのんだ。
白いガウンに身を包む彼の姿は想像以上に無防備で、胸もとの素肌がいやらしく目に飛び込んできた。
そして、眼鏡を外した彼の素顔に目が奪われた。
普段のインテリな雰囲気は取り外され、鼻筋の通った整った顔と、栗色の瞳がいっそう美しく映る。
――この人、こんなにカッコイイ人だったの?…。
彼の妖艶な瞳に吸い込まれ、うっとりとした熱いため息を漏らした。
「ははっ!久しぶりって言い方、露骨でなんかエッチだね」
先生は、私をからかうように声を上げて笑う。
「えっ!?そうですか?…あの…すみません」
私は顔を赤らめ、胸の鼓動を隠すように下を向く。
「ほら、また目を逸らす。こっち向いて、麻弥」
彼の手が首筋から入り込み、深く髪に絡みつく。
「そんなに緊張してたらこれから身体がもたないよ?…4年間、閉ざしてた身体を俺に開いてくれるんでしょ?」
悪戯気にそう言って耳朶に触れる、彼の唇。
「…んっ…」
触れられたそこから、ざわりと身体に痺れが走った。
「耳、感じるの?麻弥…すべすべしてて、綺麗な肌…」
耳朶に触れた唇は、肌の感触を確かめる様にゆっくりと首筋へ下りていく。
私は零れそうになる吐息を飲み込み、瞼を閉じてギュッと唇を引き結んだ。
強く抱き寄せられたと感じた瞬間、体がふわりと浮きあがった感覚に驚き目を開けた。
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