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到底予測できるはずも無い告白。
先生は言葉も出ないと言った様子で、愕然としているのが明らかにわかる。
ほら、やっぱり。予想通りの反応してくれちゃって…。
「…不倫慰謝料請求?それ…本当の話か?」
「当たり前じゃない!そんな冗談言って、何の得があるの?」
…そうね、冗談だったらどんなに良かったか…。
息をついて、心の内で苦笑いする。
「本当にいるんだ…そう言う経験してる人。ある意味、凄いな…」
「そう、実際にいるのよっ。…話したんだから気は済んだでしょ?生きてくだけで必死なの。自分を見失って浮ついてる余裕なんて無い…」
そう言って視線を落とす私を見つめ、先生は眉間に深いしわを刻む。
「その相手はどうした。その後も関係は続いたのか?」
「奥さんにバレて続くわけないじゃない。…音信不通にされて、そのまま終わり」
「バレたから終わり?つまり、遊びの関係だったって事か」
「違うっ!遊びなんかじゃないっ!!私は本気で…」
彼の放った冷酷な言葉で、瞬間的に血が上る。
思わず荒げた自分の声にハッとし、気まずそうに語尾を濁した。
「本気で?…本気で、その男を妻から奪いたかったのか?」
「違う…奪おうなんて思って無かった…ただ彼の側にいたかっただけ…」
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