第6話 【セカンド・バージン】

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「結婚してる相手の側に、ただ一緒にいたいだけ?そんなの、遊びの関係とどこが違うんだ?」 刺すような視線を私に向けたまま、彼はゆっくりと私に近づく。 遊びの関係だなんて... …酷い…そんな言い方するなんて... 冷えた壁に背中をつけ、茫然と彼を見上げる。 「…やめてっ。なんでそんな事を先生に言われなきゃいけないの?正当ぶっちゃって!自分だって似たような事してるんじゃないの?」 大きく息を吸い込み、威嚇するかのようにキッと睨みつける。 「似たような事?…さっきの、彼女がどうこうって話か?」 「そうよ。名駅のバスターミナルで、綺麗な女の人と歩いてたって…」 …確かに、そう聞いたけど。 身に覚えがないと言う顔で首を傾げる先生を見て、言葉を詰まらせた。 「ん?バスターミナル…ああ、あれか。あれは違う。彼女じゃない」 先生は口角を上げふっと小さく笑う。 「え...彼女じゃない?」 ――ホントに? 拍子抜けした私は、きょとんとした顔つきで瞬きをする。 「そう、彼女じゃない。それより…その借金、あといくらあるの?」 「えっ!?あといくらって…」 利子含めて120万円程ですけど―― 「…そんな事、言えません。先生には関係ない事ですから」 私にとって高額でも、この人にしてみたらきっと微々たる金額に違いない。 金額を口にするのが恥ずかしくなり、思わず憎まれ口をたたいた。
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