第6話 【セカンド・バージン】

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――まさか、本気で言ってないよね? 強引に与えられる熱い視線で、身体が動かない。 言葉とは裏腹に、立ち竦む身体は甘美な熱を帯びてゆく。 私の価値… 愛した人を失って… お金を奪われて… この四年間、自分を殺して生きて来た私の価値… 封印した心… 封印した、人を愛する想い…  ―――瞼が熱い。 「本当に…お金くれるんでしょうね?」 震える声が、湿った唇から洩れる。 「ああ、勿論」 あなたに抱かれる、私の価値… 「…100万…」 吸い込まれそうな彼の瞳を見つめ返し、私はフッと皮肉を込めた笑みを浮かべた。
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