第6話 【セカンド・バージン】

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「あんたが自分の売り値を決めた。それに俺が同意した。何か、問題でも?」 先生は、たじろぐ私の反応を楽しむかのように、満面の笑みで目を細める。 ――私の心…完全に読まれてる。 手のひらで転がされているような感覚に陥る。 私を抱くって……本気…なの? 「……」 心臓がドクドクと早鐘を打つ。 彼の瞳を見つめたまま言葉も出ず、喉まで上がった唾液を飲み込んだ。 「さっきの威勢はどうした?怖じ気づいたか?」 先生は、勝気な表情を浮かべ微笑む。 この人に――抱かれる? この高嶺の花、エリートドクターと私がっ?セックスするって?! 駄目だ… 妄想不可能…頭がくらくらする… 「…イジワル」 上目づかいで瞳を見つめたまま、緊張感に満ちた声を震わせる。 「意地悪?どこが?」 先生はゆっくりと手を伸ばし、その大きな手のひらが、私の頬に優しく触れた。
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