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新栄にあるホテルの一室。
広々とした空間に、真っ白な壁とブラウン系で統一されたインテリア。
モダンな雰囲気を持つこの部屋の中心には、ゆったり座れるソファーが置かれている。
先にシャワーを浴び終えた私は、厚めのタオル生地で作られたガウンをはおり、まるで入学試験の面接の順番を待つ少女のように、ガチガチに身体を強張らせソファーの片隅に座っている。
先生がシャワールームから出てくるのを待つこの時間…
あの高瀬先生がシャワーを浴びている状況だけで、既に眩暈がしそうだ。
天井のスピーカーから微かに聞こえるクラッシック音楽は、癒しになるどころか、反っていやらしさを演出して耳に届く。
――大丈夫、落ち着け…落ち着け…。
ただ、一度だけ抱かれるだけじゃない。それで100万貰えるのよ?こんな美味しい話、逃したらそれこそ罰が当たる。
きっと、何とかなる。……何を緊張してるの?
処女じゃあるまいし。
ガウンで隠された乳房が、ドクドクと鼓動を打ち鳴らしているのが分かる。
控えめな照明に照らされたキングサイズのベッドに視線を伸ばし、生唾をゴクンと飲み込んだ。
弾けんばかりの緊張感を解そうと、目の前に置かれたミネラルウォーターのペットボトルに手を伸ばし、渇いたのどに冷たい潤いを流し込んだ。
ペットボトルを口から離し、大きく息を吸ったその時、後ろから扉の開かれる音が聞こえビクッと身体を縮めた。
近づいて来る足音。
私は急いでペットボトルを置き、気づかれぬように浅い呼吸を繰り返した。
「お待たせ」
そう言って先生が隣に座ると、私のヒップに先生の存在が振動となって伝わって来た。
この状況で『お待たせ』と言われても、緊張感が増すばかりで返す言葉も見つからず。
「…はい」
目を合わせる事も出来ず、しおらしく頷いた。
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