27人が本棚に入れています
本棚に追加
シャラン……。
鐘の音と供に、夜空に花の道が広がった。
「椿の君が歩けば、空は虹色の花畑になりまする」
シャラン……。
鐘の音と供に、夜空に光が輝いて流れ星が流れ始める。
「天照の君が歩けば、空は喜んで輝く涙を流しまする」
シャラン……。
笛や太鼓、琴に三味線、真っ黒な夜空を切り開き、
光や音が輝き始め、潤い、溢れ始めた。
「八百万の神々さまー、どうぞお急ぎ下さい。船が待っていますー」
天の川を牛に乗って表れた青年は、皆を急がせるが、神々は笑ってゆっくり歩くのを辞めない。
「祠や神木は船の中、私たちは海に沈みませぬ」
ケラケラと笑い、神々は下を振り返る。
世界は悲鳴をあげていた。
建物のネオンが輝く夜の町、人々が最後の日を迎える中、
神々はゆっくりのんびり船に乗る。
地球が、日本が、飲み込まれる最後の日。
神々は、ゆっくりのんびり歌い出す。
最初のコメントを投稿しよう!