神様が、眠る日。

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シャラン……。 鐘の音と供に、夜空に花の道が広がった。 「椿の君が歩けば、空は虹色の花畑になりまする」 シャラン……。 鐘の音と供に、夜空に光が輝いて流れ星が流れ始める。 「天照の君が歩けば、空は喜んで輝く涙を流しまする」 シャラン……。 笛や太鼓、琴に三味線、真っ黒な夜空を切り開き、 光や音が輝き始め、潤い、溢れ始めた。 「八百万の神々さまー、どうぞお急ぎ下さい。船が待っていますー」 天の川を牛に乗って表れた青年は、皆を急がせるが、神々は笑ってゆっくり歩くのを辞めない。 「祠や神木は船の中、私たちは海に沈みませぬ」 ケラケラと笑い、神々は下を振り返る。 世界は悲鳴をあげていた。 建物のネオンが輝く夜の町、人々が最後の日を迎える中、 神々はゆっくりのんびり船に乗る。 地球が、日本が、飲み込まれる最後の日。 神々は、ゆっくりのんびり歌い出す。
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