第4話

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あの日は、 朝から子供地曳きの声が響き、 よく晴れていて、 それでも少し風は冷たく、 その風の流れで1日中、 屋台の香ばしい匂いがずっとそこここにあるような、 そんな日だった。 『……ったくお祭りだからって 何で学校お休みにしちゃうのかしらぁ。 ほら、どいて、邪魔よ。 学校もそうだけど、何でベランダあんたの部屋に作っちゃったのかしら』 ベッドにいる私をブルドーザーの如く布団で押し退け、 母親が言った。 その手がベランダの窓を開けると、 子供地曳きの音が太陽と混ざる。 手の中にある、メール返信途中の携帯。 1通は結斗からで、 1通は町田さんからで、 最初に町田さんに。 町田さんから朝早く、届いたメールは 優しかった。 【愛ちゃん、突然だけど、 お祭りの残り、どれか一緒にいける? 予定がわからないって言ってたから、 みきとね、きっと佐竹さん達と行くんだろうねって言ってたんだよ。でも昨日私達がお祭りで会ったら、佐竹さん達と愛ちゃん一緒じゃなかったから。 じゃあ、もう一回誘ってみようって事になって。 無理ならいいからね。 佐藤先輩、ばっちり見たよ~。 すごくかっこ良かった】 結斗からはその少し後に、 【おはよ。 今日、7時、もしかしたらそのちょっと前ぐらいには体空くから連絡する。 8時過ぎからはまた乗らなきゃいけないから、ドタバタさせるけど、ごめん】 ってメールが届いていた。 町田さんには、 明後日なら大丈夫で、 結斗にはわかったと返す。 そんな優しくて何気ない、 朝だった。
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