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「アメリカに行きたい」
ある日の夕食後、そう両親に持ちかけると、二人とも飲みかけのお茶が入った湯のみを持つ手を宙に浮かせたまま、私を食い入るように見つめた。
いったん言い出すと止まらない私。畳み掛けるように言葉を重ねた。
ー もっと英語が上手くなりたい。
ー 帰国子女のニセ看板を背負うのはもう疲れた。
でも本当は。
、、、本当は、なんだかもう何もかも嫌で、今いる状況から逃げ出したかったんだ。
心配性な親の出した条件はひとつ。麻里のところに居候しなさい、と。
私の家族が日本に戻った後、麻里は毎夏日本にやってきて私達を訪ねた。
日本の高校に体験入学したり、私たちとキャンプにいったり。麻里と彼女の家族への、両親の信頼は厚かった。
「、、、。これでもふってみたら?」
麻里がさかなの形をしたビスケットを投げてよこす。
「ほれほれ、こっちみてー、おいしいそうだよぉ」
ネコの目線の高さで、さかなビスケットをふりふり。
、、、、、、。
「なんかわざとそっぽ向いてない?」
「性格悪いネコなのかも」
「顔はイケメンなのにねえ」
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