お店を救え

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7月も半ばになると、比較的北の位置にあるこの街も湿気が高くなるせいか、蒸し暑い日々が続く。 『あっちぃー。あれー、ジョン!! もうすっかりいいのー?』 シャツのすそをパタパタ扇いで風を入れながら本屋に入ってきたショーン。 カフェでコーヒーを片手に談笑していた老人を見つけると、飛びかからんばかりに嬉しそうに話しかけにいった。 『おー、ショーンか。学校はどうだい』 『まあ、あいかわらずだよ。もう腰はすっかりいいの?』 『ああ、まだリハビリ中だがの。体を動かさんといかんって医者がうるさいのよう』 『で、リハビリがここに来ることかい?』 他の客が笑いながら突っ込んだ。 『まあのぅ』 「あの人は?」 レシートを整理しながら麻里に聞いた。 「ジョンって言って、前のオーナーのころからのここの常連さんだそうよ。とても気のいいおじいちゃん」 「どこか悪かったの?」 「うん、ヘルニアだったかな? 腰のオペをしたって聞いた。そういえば彼を見るの久しぶりだわ」 そのジョンが私のほうをみて、ちょいちょいと手をふった。 なんだろうと寄っていくと、 『新人さんかい?』 『初めまして、ルナといいます』 『ほぉ、可愛いおじょうさん、よろしくのぅ。ここに座らんかね』 と、自分の右にあいている席をちょん、と指差している。 えっ、でも仕事中だし、と焦っていると、 『おいジョン~、なに来てそうそうナンパしてんのよ』 一気に笑いにつつまれた。 『ところで』 急に真顔になって、ジョンが言った。 『ちょっと聞いたんだが、最近ここ、ビジネス的に苦しいんだと?』 『なんだかそういう話だね』 他の客が相槌をうった。 、、、もうお客さんにまで、そんなうわさが伝わっているんだ。 先ほどの笑いで和らいだ雰囲気が、今度は一気に硬くなった。
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