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しかし、別れは突然訪れた。
2年になり、
ふたりで下校している時のこと。
不意に立ち止まった彼が告げたのは、
「好きな女ができたんだ。
だから、別れてくれないか?」
亜子をどん底に突き落とす別れの言葉だった。
その日から、亜子は数日学校を休んで部屋で泣き暮らす日々を過ごした。
心配して家まで来てくれた友人に慰められようやく学校に行くと、
彼が自分ではない別の女の子と手をつないで歩いている姿を見てしまった。
もう、何日も泣き続けて枯れ果てたはずの涙が亜子の頬を伝い落ちる。
「もういいんじゃないの?
高校のときの話しなんて13年も前でしょ?
いい加減そんな薄情な男のことなんて早く忘れて、ちゃんとあんたのこと想ってくれる相手と幸せになりなよ?
その初恋の彼も今頃どっかで幸せになってるんだろうしさ。」
亜子を想って愛美が言ってくれた言葉。
“早く忘れてしまえ”
そんなこと言われなくったって、亜子だって出来るならそうしたい。
ところが、どうしても忘れることができない。
いっそのこと接点がなければ。
亜子が彼を忘れられない理由それは、
彼が亜子のおさな馴染みだったから。
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