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亜子が健吾にはじめて恋心を抱いたのは小学5年生のときだった。
当時の亜子は、今からは想像できないが、どちらかといえば大人しい部類に入る性格の女の子だった。
からかったら直ぐに泣くので、それを面白がったクラスメイトの男子数人が亜子をからかう事件がある日起こった。
案の定泣き出してしまった亜子をみんなが笑い者にする中、健吾だけが亜子の味方だった。
亜子をからかったクラスメイトたちを全員殴り飛ばして担任の教師にしこたま怒られた健吾。
そんな健吾に亜子はいつも救われていた。
後日談で分かったことなのだが、亜子をイジメたリーダー格の男子児童が実は亜子のことを好きだったらしく、
好きな子ほど照れ隠しでついついイジメてしまう男心だった。
健吾は整った容姿で、勉強も運動も良くできたため、クラスの女子からは人気があった。
“幼なじみだからって健吾君に頼りすぎなのよ!馴れ馴れし過ぎてムカつく!”
そう言ってクラスの女子グループから亜子は陰湿なイジメも受けた。
筆箱や上靴を隠されたり、ノートをビリビリに破られたこともあった。
「亜子の髪って綺麗だな。」
いつか健吾は亜子の長く伸ばした髪の毛を見てそう言った。
だから、亜子にとって長い髪は大切なものだった。
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